関西在住の35歳勤務医のDr.Kさんが書かれた医師のための投資本です。執筆当時2017年なので…なんと同年代の方。いつもTwitterで贔屓にしてくれているR.パパさんの紹介で知りました。
僕が読み終えて思った感想は「ひとつひとつの理解度・徹底度合いが完璧」という印象です。天才だとR.パパさんは言われていましたが確かに….抜け目なしで目の付け所が違うといったところです。
- 本の概要
- (僕が読んだ上で)役に立つと思った点
- 所感
で掘り下げます。
本書をお勧めする方は以下
- 逆張りバリュー投資を検討されている方
- 医師で株式投資に関する知識が乏しく、興味はあるが何から始めればいいのかと迷っている方
- 株式投資に対する考え方、各種指標に対する考え方等、独自の視点で捉えて成功されている投資家の考え方を吸収したい方
以下の書籍となります。
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1.本の概要
本書は大きく概論と各論に分かれています。
概論では、投資初心者向けのお話が中心です。お金に対する考え方や株式投資が筆者の性に合っている理由や手軽さ。医師としての投資スタンス・考え方。最低限必要な知識、投資失敗例等が記載されています。
要所要所で医師、というよりDr.Kさん視点での投資に関する考え方、捉え方が新鮮で的を射ていて興味深いです。以下の段落構成です。
- なぜ株式投資をすすめるのか
- 証券会社の開設手順
- 医師の株式投資スタンス
- なぜ株式投資なのか
- おさえておきたい最低限の知識
- わたしの株式投資失敗体験記
概論ですが、SBI証券の口座開設については細かく丁寧に解説されています。
各論では逆張りバリュー投資を前提に入口・保有・出口戦略や確認しておくべき情報などが紹介されています。ここでも、各指標について独自の捉え方・考え方をされているのですが、共感できる点が多かったです。あとは…..徹底度合いが凄い。以下の段落構成です。
- 入口戦略
- 保有戦略
- 医師が確認すべき事項
- 出口戦略
- 知っておきたい株式用語
- あとがき
個人的には概論で投資に対する心構えや考え方が参考になりました。各論で「これは知らなかった」と思える指標の使い方(特にチャート)や各種ツールがあり、目から鱗でした。(そういえば、Twitterで著名な投資家の方は皆、ツールに関しては使われています。一体どのようなツール?と思っていた疑問が氷解しました。)
2.役に立つ点
以下、実投資や日々の考え方で使える….と思う項目を箇条書きで列挙していきます。
- 浪費と消費
経済的価値の話ですが捉え方が面白いです。 - 医師の平均年収は1156万!?
安いと思いました。高額な学費と研修医時代の激務。大学病院などに勤めた後も勤務時間が長い。何より人様の命を預かるお仕事。重責でしょう。平均年収なので開業医の方は2000、3000…..と天井知らずでしょうが、それは独立開業コンサルタントでも同じ。優良大企業のサラリーマンより少し良いぐらいなんですね。。定年は長いのでしょうが。 - バリュー株を逆張りで投資するスタイル
バリュー株なだけで割安なのですが更にそれを相場が暴落した時に仕込む逆張りの思想。僕も〇年来安値で仕込む事を心掛けていますが〇〇ショックまでは意識出来ていません。本書を読んでいていて、多分〇〇ショックの大暴落時に大量に仕込む手法なのかと思いました。 - 株式投資におけるリスクは「個別銘柄リスク」「市場リスク」
前者は企業業績を読み解く事と過去の株価推移を追う事でおおよそ予想できるようになりました。ですが、後半の市場リスクは地政学リスクやカントリーリスクなども絡むため複雑で僕には理解が及びません。今後は、後者を強化していく事が必要と理解しました。 - 経済的問題の「保留」という考え方
マネーリテラシーを身に付けて将来についてどのようにお金と付き合っていくのか、お金を使って自己実現をどうしたいのか。曖昧にせず、明確に考える事を提唱されています。 - TOPIXは1968年4月1日の数字を100としている
- 名古屋証券取引所は後場が15時30分まで空いている
完全に15時が頭に染みついていたのでこれは良い事をしれました。 - ローソク足を見たら、どこから始まってどこで終わったのかを見る。
上ひげを付けるほど売り圧力が強く、下ひげを付けるほど買い圧力が強い。
チャートは素人なのでこういう基本的なところから鍛えないとダメだなと思いました。簡単な紹介がありますが、2行目の言葉がすっと腹に入ってきました。今までチャートは無味乾燥でしたが、「心理戦」を表している事など紹介頂き、理に叶っているものだなと思えました。 - 株を買うタイミングは「恐怖が相場に蔓延している時」
全体相場が下落しているが、その下落要因が対象銘柄に関係の無い事象であれば強気で買う! - RSIは短期的な個別銘柄に有効な指標(材料が出ていない事前提)
- 騰落レシオは全体相場観に有効な指標
- 世界の株価(日経CFD)のツールはアプリで入れて毎日見る
- 買いは技術、売りは芸術だが….相場が楽観視している時に売れば多少売る技術も向上する
テクニカル部分が特に勉強になりました。あとは、バリュー深度を深めるためにネットネット株については勉強・掘り下げて使いこなせるようにしないといかんです。
3.所感
本書を読み終わって筆者に対する感覚は
- 抜け目がない
- 投資に関する知識の幅広さがある
- 投資の格言、指標に関して「独自の考え」を持ちそれを論理的に整理して挑んでいる
こういう印象を受けました。天才ですね。お医者様で活躍されている方なので頭は国内トップクラスに切れるため、それを投資で活かすとこうなるのでしょうか。
僕に足りないものにいくつか気づかされました。
- 長期投資、バリュー投資家でもテクニカル指標で使えるものはある。それを使いこなせば、「頭と尻尾」をくれてやれの頭と尻尾部分を増やせる
- バリュー投資の深度をもっと高める必要がある。具体的にはネットネット株やPEGレシオといった指標の使いこなし。
- 古典的投資家の本を読み込む必要がある。
ですね。ここ1年かけてそれぞれ強化していきたいと思います。先ずは継続して勉強する事。
最後に本書をお勧めする方を振り返って終わりたいと思います。
- 逆張りバリュー投資を検討されている方
- 医師で株式投資に関する知識が乏しく、興味はあるが何から始めればいいのかと迷っている方
- 株式投資に対する考え方、各種指標に対する考え方等、独自の視点で捉えて成功されている投資家の考え方を吸収したい方
閲覧有難うございました。
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