消費者視点ではAuの携帯電話事業を運営している事で有名な通信インフラメーカーKDDI(9433)の決算分析です。
- 微減収増益!(携帯端末コスト削減が寄与)
- 増配!
- トヨタ自動車との資本提携強化!で第三者割当増!
- 嬉しい、第三者割当は市場からの自社株買いで対応!
- 第三者割当以上の自社株買い!
安定の連続増配を誇るKDDIのざっくり決算、その他材料の掘り下げます。KDDIについては資産株記事も書いているので宜しければ閲覧ください。
100株以上で3000円~5000円相当のカタログギフト優待を提供してくれます。総合利回り5%を超えており連続増配中なので、家族口座でも持ち300株保有しています。ネオモバでも定期買付対象です。
【株主優待】最大5000円相当の高級カタログギフト 17年連続増配! 9433 KDDI 配当+優待利回り 4.7%【資産株お勧め50.】
1.2021年第二四半期決算概要
- 決算短信を掘り下げます。
- 業績は減収増益!営業利益前年比+6.4%、四半期純利益+7.1%で好調です。
- 1株益も148円→162円まで伸びました。
- 1株配は55円→60円と1株益の伸びよりもマイルドなので配当性向は下がります。良いですね、余裕を残しながら増配。下期も60円配当予想です。
- 通期の営業利益予想は1.03兆円。第二四半期の実績が0.5887兆円。通期予想に対する営業利益の進捗率が50%を超えており上方修正の可能性さえもあります。
- 定性要因の掘り下げです。
- Society5.0やSDGsは社会の要請であり、ここにドはまりする形で5Gサービスや2030年中期経営計画を設定しています。
- Society5.0はネットのデータ等の仮想空間の情報と、製造現場、営業現場、外食の売り場現場、スーパーの現場等のフィジカル空間とを結びつけて大量のデータを高速通信する事で今まで解き明かせなかった複雑な現場の問題を把握し、改善するための取組みに繫がる。と僕は理解しています。ビッグデータはあるけど、それを高速で通信する手段が無かったので使いこなせない。解析ができないといった問題にメスが入る取組みですね。
- 5G通信がこの改善に繋がるのですが、例えば高速で走っている車の車体情報、スピード、車内に乗っている人の情報(味覚、嗅覚、触覚、体調)を走行している前後の車体感でまとめてデータを集めて把握する。そこから自動化や渋滞緩和等に繋げる、等、改善の可能性が無限大になる方策です。なので、ここが伸びているのは時流乗っており良いです。(しいて言えば、ドコモやソフトバンクも当然手掛けているので差別化要素が欲しい。明確な)
- 携帯の販売戦略は大容量の5Gを使う高級ユーザーとローコストでシンプルに使いたいユーザーのどちらも獲得するために、UQモバイルを傘下に持っている事ですね。ですが、ここもソフトバンクはヤフーモバイルがあるので衝突します。やはり明確な差別化要素が見出しづらいところですね。
- ジョブ型雇用は将来の販売費・管理販売費削減に繫がる地味ですが良い取り組みです。共働きが主流になる中で、高度経済成長期から現在に至る、単身赴任や転勤を伴う異動が当たり前の業務形態が当たり前で無くなりつつあります。言い換えれば、共働きなので一人当たりの収入はそこそこで良いので勤務地の限定や自由を効かせて欲しい事や、収入はそこそこで良いので生涯専門的な仕事に特化してやらせて欲しい。というニーズに合致してくると思います。
- 決算補足説明資料にSociety5.0のイメージがありました。現場のフィジカル空間情報を瞬時に吸い上げて、サイバー空間で解析し、それをFBする事で現場がよりよく回る。
- Accelerate5.0というサービスでそれを実現しようという取組と理解しました。
- 続いて、減収増益の原因です。
- 主力のパーソナルセグメント事業です。
- 端末販売収入減少のため減収。しかし、端末販売そのもののコスト削減とエネルギー事業の高効率化で減収による減益を上回る増益を確保しています。内部改善で外部環境悪化を上回ったという好事例ですね。
- この傾向はビジネスセグメント事業でも同様です。
- 加えてビジネスセグメント事業では、通信料収入の増加も効いています。ここは、巣籠需要やテレワーク等でしょう。法人契約でwifiを結ぶ件数が増えたり、wifiの通信プランを高いものに変更するなどの対応を企業が取った事は容易に想像できます。
- B/S資産の部です。
- 非流動資産の金融事業での貸し出し金と有価証券の項目が主に伸びています。
- 貸出金が増えているという事は需要増で好調になっていると予想します。
- 負債・資本の部は殆ど変化が無いため割愛します。
- 減収額270億円に対して、売上原価の低減額が760億円で上回っています。携帯端末コストの低減がこの部分で効いているのでしょう。
- 対して、販売費・及び一般管理販売費は増加しています。ここは5G等の先行投資があるとみます。
- 最後にセグメント別業績です。
- 主力のパーソナル、ビジネスセグメント共に増益です。
- ビジネスセグメントに至っては増収増益ですね。
総じてみるに良い決算と思います。社会情勢に対応した5G対応や法人通信料収入増などコロナの良化影響も取り込んでいると見ます。
2021年第二四半期決算説明資料
2021年第二四半期決算短信より抜粋
2.トヨタと資本提携強化!自社株買い!
- 営業利益が増益の好決算が出たのと同時に好材料は続きます。
- トヨタとの資本提携強化の材料です。
- 元々12%以上の株式を保有しているトヨタですが、ここに来て第三者割当による自己株式の処分が決定しています。
- 第三者割当というと、新たに増資→1株当りの価値が下がるとして嫌気されてしまうのですが、KDDIは既存株主の事をよく考えていますね。割当てる株式は市場から買い付けて割当てるそうです!なので、1株の価値低下は無しです!
- トヨタとの資本提携強化は5GとSociety5.0が繋がった形ですね。フィジカル空間の現場情報はこの例で言うと車や人、街の情報。これを集めてサイバー空間で超高速で大容量で共有する
- そこで得られた何らかの解をフィードバックする事で新しい価値を提供する。
といったところでしょうか。今回の資本提携でトヨタのKDDI持ち株比率が13.74%になります。
- 最後に自社株買いです。
- この自社株買いの意味は2つあって、ひとつは株主還元。もうひとつはトヨタとの資本提携強化で使う株式の調達です。
- 市場から買付を行い、その数8400万株。そのうち1830万株をトヨタに割当てします。残った6570万株は取得後、消却されれば1株利益や1株純資産の向上に繫がります。1株益が上がるので増配余力になります。
こんな素晴らしい材料を出して増配、株主優待も併せて出しているのに株価はバーゲンセールの3000円以下。良いですね。保有&ネオモバでの定期買付継続です!
第三者割当による自己株式の処分について より抜粋
以上です。