KDDIと資本提携している情報セキュリティに強いラック(3857)。2020年に引き続き厳しい決算が続きます。2021年第三四半期決算分析です。
決算概要をざっくり見たところは以下。
- 主力のSSS事業、SI事業は共に増収
- SI事業は全面前年同期比増収増益
- 販管費一般管理販売費増→拠点集約後の2022年に期待
ラックを長期投資で考えている方には前回の決算から傾向の変化は無いのでまずまずです。ですが短期的には買いたい要素は薄めで株価も軟調です。
第二四半期の決算分析も行っていますので宜しければ併せて閲覧ください。
コロナ影響で下方修正も増収&将来対応で長期期待!ラック(3857)2021年3月期第二四半期決算分析
1.2021年度第三四半期決算分析-ラック(3857)
- ラックは昨年から先行投資期に入っているため業績が悪いです。
- しかしながら前年同期比で増収増益です。当期純利益は拠点集約費用等を特別損失で計上するため前年同期比マイナスになっています。
- 通期営業利益15.1億に対して進捗率は27.8%しかないので厳しそうに見えますが、前年同期も下期に14~15億の営業利益を計上しているので期末偏重型の決算なのでしょう。
- ならば、前年通期の営業利益17.67億は超えてくるかもしれません。
- 定性要因です。市場環境はサイバーセキュリティ需要がテレワークがどこでも拡大・導入基調なので良好なようです。ですが、数字が思ったよりインパクトある形で伸びてくれませんね。伸びてはいるのですがグロース株としては弱いです。
- 事業継続は出来ているが、お客様の企業活動の停滞により営業・受注活動制限が出るというのは何か言い訳がましく聞こえました。テレワークやITに疎い企業ならまだしも、ここは腐ってもIT系の基調。ならば、顧客の制限を独自のアイディアでこじ開けていく積極的な姿勢が欲しいです。例えば、顧客とのテレワークや人数制限した上での会議、密を避けるならば屋外会議でも良いわけです。その環境を自ら作ってお客さんを巻き込まないと…と思うのですが、それは実態を知らなさすぎるのでしょうか。
- SSS事業とSI事業はセグメントとしては共に増収増益です。子会社等の拠点集約費用の特別損失計上が純利益を圧迫しています。
- 売上高の伸びに対して売上原価も同額伸びているのが気にはなります。
- セグメント別業績です。
- SSS事業はセキュリティ保守サービス以外は全て増収です。
- ですが伸びが弱い原因として、運用監視サービスでの大型案件獲得が出来なかったことや保守サービスでクラウド対応により既存更新が減少した事などが挙げられています。
- 増収ですが人員増強と体制強化投資のため減益になっています。
- SIS事業は第二四半期と同じく全セグメントで増収です。ハードやソフトといったもの関係のサービス販売がクラウドの導入でこちらも市場は縮小傾向です。
- こちらは増収増益で好調ですね。
- B/Sです。
- 現金預金、手形は前年同期比と傾向は変化なし。固定資産のその他はソフトウェアの投資で増えています。
- 一方負債の借り入れが大きく増えています。前年は29億だったものが50億です。(短期・長期借入金)拠点集約費用が相当にかさむのでしょうか。これに見合う伸びがあるか見極めが必要ですね。借入が大きい。
- 売上原価率が高いですね。1%上昇して80%。
- 販管比率は18.5%。
- 持分法による投資利益が損失に変わり営業外で1億の減益になっています。
- 減損損失と事務所移転費用で1.8億の特別損失を計上。第四四半期にもこれが一定計上される。これが22Fには無くなって欲しいですね。と考えれば、まだ19年代の株価に戻ってくるのでしょうかね。
4月末から5月の来期業績予想に期待します。ここは例年、来期予想は保守的には見積もっていないので大きな問題が無ければ、増収増益予想を出してくるはず。
焦るな!耐えてホールドしろ!と自分に言い聞かせます。
以上です。