バリュー投資家では有名過ぎる、かぶ1000さん。書籍を発刊された時はちょっと目を疑いました。
「あれ?もう、何年も前に出されていたのでは?」
が第一印象でした。1988年から投資をされているためです。バリュー投資家として世界的に有名なグレアムさんのネットネット株の考え方に独自の視点を盛り込んだ投資方法等を調べる中で僕は知りました。
しーげるさんのネットネット株分析のブログを通じで理解を深めています。
本書は、かぶ1000さんがバリュー投資を始めるに至った考え方や元手を増やしていく過程等から入り、投資スタイル・考え方の展開をされています。四季報の活用術や大型優良株への投資法等多岐に渡ります。
- 本の概要
- (僕が読んだ上で)役に立つと思った点
- 所感
について、いつも通り掘り下げていきます。
僕なりに考える本書のポイント(想定読者)は以下です。
企業の資産価値に注目したバリュー株投資を極めたい方にオススメです。
- 個別株の値上がり狙い投資で、極力損失を抑えたい方。ディフェンス重視の方
- 特に、企業の保有・蓄積してきた資産に価値を見出して投資を行う資産バリュー投資家の方
- 企業の資産構成の分析方法を学びたい
- 資産バリュー株投資に精通した決算短信、有価証券報告書の読み込み方を学びたい
- 保有銘柄の売却判断、次に狙う銘柄の購入判断の一例を学びたい方
バリュー株投資について語られている本書。
- 高い買い物はしたくない
- 定価で買う事には気が引ける
- いつも、スーパーで割引セールに注目する。
- 弁当や惣菜は夕方7時以降に割引シールが貼られるのを待ってから買う人
- お買い得な買物が出来ると得した気分で幸せになれる
こんな事に価値を見出す人にはお勧めの投資手法かと思います。
一言で言えば、如何にお買い得な状態で株を買うかがバリュー株の神髄なので。
書籍は以下になります。
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電子書籍派の方は以下です。
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1.本の概要
序章から6章までの構成です。
序章、1章では著者が投資を始めるきっかけや専業投資家として生計を立てる決意をしたこと等について紹介されています。
- 読み物
- 投資感
- バブル期の金融情勢(預金利回りや税金のお話等)
など書かれており、楽しく興味深く読ませてもらいました。
2章は著者の投資方法について紹介されています。
- バリュー株投資を考えるに至ったきっかけ
- 資産バリューと収益バリュー株投資
- 資産バリューの具体的な事例と読み解き方
- テクニカルでもバリュー度を測る
- 個別、市場、同業の視点で見る
等、具体例や計算式を交えながらバリュー株投資の基本について紹介。
3章は資産価値に注目したネットネット株投資についての紹介。
4章は会社四季報の読み解き方の事例。
5章は株式投資の売り買い戦術についての考え方、事例。
6章は結びや投資感について。
このような構成で紹介されています。
個人的には1章はへぇ….読み解いて面白いなと思える項目、2章は基本だけど目から鱗になる点多数、3章はネットネット株について正しく詳しい理解を深める。5章は今後の投資戦略の参考に。
と学ぶべき点が多数ありました。
2.役に立つ点
以下、実投資や日々の考え方で使える….と思う項目を箇条書きで列挙していきます。
- 企業が保有する現金、不動産、有価証券に注目して集中評価する
現金は攻めの事業投資に即使えます
現金は守りの借金返済、赤字の時の運転資金の確保に即使えます
現金は株主に安定した配当を即支払う事ができます
現金預金は正義です。それが企業の保有資産の割合でどれほど占めているのかは僕も超重視しているので分かります。
不動産は目から鱗でした。不動産というと購入した時の価格から減価償却された後の簿価で見る事が殆どでしたが、そうではなく「現在価値。評価額」に着目すると全然違う世界が見えてくるという視点が学べました。言われれば当たり前なのですが、日々、決算分析をする中で注目した事がありませんでした。
そのため、本書を読んでから決算書を読んでいて不動産の保有額が大きい企業は、時価に注目する術を身に付ける事が出来ました。好事例は「オンリー」です。
有価証券についても時価と取得単価の違いに注目する術を学べました。コロナショック等で日本企業に多く投資している地方銀行業等では以下のような投資戦略を思いつくきっかけが出来ました。
- 〇〇ショックで地方銀行の保有株が強烈に値下がり
- 株式評価損を計上し大幅減益、赤字
- 株価超下落 ←ここで投資(無論、保有株が回復する見込みがある事を調べた後)
- 〇〇ショックから回復すると今度は評価益が強烈に!
3つの資産から実際の価値に注目し、今の株価に対して超割安になっている。本業はまともな状態。であれば、迷わず集中投資に踏み切れます。そういう安心感を与えてくれます。
- PERを益利回りで見る
PERやPBRの逆数を取って割安度を見るというのは見え方が変わるので参考になります。特にPERを益利回りで見るというのは他の金融商品の利回りを比較すると良いですね。国債、社債、REIT、投資信託…。
- 現在の株価からチャートを横線で引いてみる
右肩下がりで下がり切ったチャートが僕は好物ですが、この考え方は目から鱗です。横線を引くとそこから上の株価で買った人は含み損を抱えており、下で買った人は含み益になっている状態。含み損を抱えている人が多ければ多いほど、投資の凄みがあると理解しました。
- 株式投資はどれだけ儲けられるかよりも、どれだけリスクを減らして損失を抑えられるか
バリュー株投資のひとつの神髄です。
- ネットネット指数算出式に秘められた考え
よりリスクを減らし、より企画を獲得するために非常に合理的で理に叶っている考えでした。銘柄を用いて優れた事例も紹介されているので、あぁ…..こういう風に銘柄選定して投資するのか….と考えさせられました。
- わらしべバリュー株投資
今、保有している銘柄の指標管理を徹底し、次の銘柄に乗り換え続けるためのルールを確立されています。これが出来ていると最強です。そのルールが長期的に投資成績をプラスにしているものであれば、今後も継続できる可能性が非常に高いためです。
3.所感
流石長い事、バリュー株について専業投資家で成果を挙げてきた方です。考え方に全て裏付けがあって自分の考えで語りつくされています。
投資は自分が心地よい、継続していける考え・感覚をノウハウに落とし込めるところまで継続すると一生ものになると信じています。それを体現されていますね。
今後もバリュー株の専業投資家として活躍されていく事を期待しています。本書から学んだ事も活かして自分もマイルールの投資ノウハウを丹念に造り込み、市場で闘っていきたいと思います。
オススメを振り返って終わります。
- 個別株の値上がり狙い投資で、極力損失を抑えたい方。ディフェンス重視の方
- 特に、企業の保有・蓄積してきた資産に価値を見出して投資を行う資産バリュー投資家の方
- 企業の資産構成の分析方法を学びたい
- 資産バリュー株投資に精通した決算短信、有価証券報告書の読み込み方を学びたい
- 保有銘柄の売却判断、次に狙う銘柄の購入判断の一例を学びたい方
閲覧有難うございました!本書が気になる方は、是非手に取って読んでみてはいかがでしょうか。
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電子書籍派の方は以下です。
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