シロアリ防除事業で日本一のアサンテ(6073)より2021年第三四半期決算説明がありました。
内容を掘り下げます。
ざっくり見た印象としては
・コロナ影響を引きずっており、売上高・利益は前年同期比低調
・しかし、コロナ影響を受けてなお、営業利益率13%以上の好利益率維持
・80億以上の現金を上手く使い、19億もの大規模自社株買いを実行
・通期予想は保守的で上方修正が出る可能性は相当に高い
です。60円の高配当を維持しながら優待も出し続ける事は余裕でしょう。
アサンテは
- 業界首位
- 売上高に対する売上原価比率30%という好粗利益体質
- 流動資産の大半が現金預金で超キャッシュリッチ体質
- 事業継続に大規模な設備投資を利用しない現金が貯まっていく構造
- 営業利益率はコロナ禍で調子が悪くても10%以上
という超絶な魅力を持つ企業です。加えて高配当で昨年までは連続増配銘柄でした。
株主優待もあり、総合利回りは5%近くあります。
資産株記事も書いていますので宜しければ閲覧ください。
アサンテ(6073) シロアリ駆除業界No.1!株主優待 三菱UFJニコスギフトカード2000円 配当+優待利回り5.5% 【資産株108.】
なお、第二四半期の決算分析もしておりますので宜しければ閲覧ください。
前期比減収減益も60円配当据え置き! 買収上乗せで22年度に期待! アサンテ(6073)2021年第二四半期決算分析
1.2021年度第三四半期決算分析
- 決算短信と決算補足資料を掘り下げます。
- 21年7月に北海道へ販路を拡大するためにハートフルホームを買収しました。
- このため、連結決算開始になります。
- 第三四半期が終わり、営業利益は14.9億。通期予想は13.38億。
- 既に営業利益は通期予想を超過しており、+13%です。
- 第四四半期が赤字にならない限りは確実に達成できそうです。
- 定性要因です。
- 業界の将来動向は有望と見ています。(業界シェアトップでも中小企業が請け負っている事が多く、潜在需要が全く拾えていない状況)
- 第三四半期においても、コロナ影響が続き緩和されつつも継続とあります。
- 月次売上推移が前年同期比92%前後である事からも読み取れます。
- 同社はシロアリが活発化する第一四半期(4~7月)がかき入れ時です。
- そのため、第三、第四四半期は売上が落ちる傾向があります。
- ここは前年同期比で第四四半期が赤字だったかを後に確認してみます。
(通期予想達成角度が高いか見るために)
- これは、昨年(20年)度の第三四半期の業績と第四四半期の業績を比較したものです。
- 第四四半期が赤字なのかを調べるために比較表示しました。
- 季節性の影響が確かに出ており、第三四半期までで営業利益21億に対して、第四四半期で22億しか出ていません。
- しかし、営業利益・経常利益・純利益共に第三四半期より増加しています。
- この傾向は今年も継続するとみると第四四半期は若干利益が増えるとみます。
- 続いてこれは、2021年度の第二四半期と第三四半期の業績を比較した資料です。
- 第三四半期単体では営業利益3.3億、経常利益3.3億、純利益2億ほど経常しています。
- 上期偏重は如実に表れていますね。各利益率は悪化しています。
- P/Lです。
- 利益率は悪化しつつも、売上高総利益率は70%以上と稼ぎやすい体質になっています。
- 半面同社の経営課題は販売費および一般管理販売費です。人件費ですね。
- ここの営業効率を上げていく事が今後更に増益基調に持っていく上での課題です。
- とはいえ、業績が横ばい基調で続いてもキャッシュリッチになっていく体質は変わらないので長期保有していれば高配当継続
- キャッシュが貯まれば自社株買い→消却→配当コスト減・1株益・1株純資産上昇→株価上昇→キャッシュがまたたまって自社株買い→消却→配当コスト減・1株益・1株純資産上昇→株価上昇。このスパイラルは不変と見ます。要は、プロネクサスです。
2021年第三四半期決算説明資料 より抜粋
2021年第三四半期決算短信等 より抜粋
2.大量取得した自己株式の使い道に期待
- B/S資産の部です。
- 現金預金が80億以上ありましたが、63億に減っています。
- この状態でも流動資産>>>総負債なのでまだまだ財務は堅いです。
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続いてB/S純資産の部です。
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創業者の株式売り出しで自己株式を取得していましたがそれがモロに出ています。
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前回まで10万単位でしかなかった、自己株式の項目が一気に19億まで拡大しています。
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これが将来消却されたら配当コストが大幅に削減できるでしょうし1株益も1株純資産も大きく上昇するでしょう。消却を期待します。
最新のアナリストレポートによると今後のTOBでの株式交換での利用も検討できると有りました。事業拡大で使って利益に貢献させるのも良いですね。
株価は1700円を付けて12月に勇気をもって闘いを挑んだ甲斐が出てきました。
引き続き継続保有して、月次売上やハートフルホームの動向を見守りたいと思います。
令和3年度第三四半期決算短信より抜粋
以上です。
*当記事は個別銘柄について言及していますがあくまで個人の見解・分析であり、売り買いを推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。