種まき事業がコロナ対策に! オイレス工業(6282) 2021年3月期第二四半期決算分析

Pocket
LINEで送る

自働車用途のオイレスベアリングで国内首位のオイレス工業(6282)

  • 高利益率
  • 好財務(流動比率400%超え)
  • 自社株買い、株主優待+配当利回りの高い好還元姿勢

の三拍子が揃った優秀な企業です。親口座では500株保有しており、資産株の中では投資額が大きい銘柄で期待しています。

自働車関連の売上が減少しておりコロナの影響をモロに食らっていますが、種まき事業の成長も垣間見える決算内容でした。

決算概要をざっくり見たイメージは以下です。

  • 通期予想を上方修正!売上15億減も営業利益7億増予想の14億へ!(前年同期比47億)
  • 投資と利益還元を考慮し、配当予想は前期50円→30円へ減配予想。高利回りの株主優待は改悪無し!(これでいい!)
  • 主力の軸受け事業はコロナ影響をモロに受け大幅減収赤字転落。主力事業一本足打法では上期黒字化は無理
  • 軸受けで培った技術を活用した建設・住宅向けの耐震、免震用の構造事業で大型案件が伸長し、増収大幅増益!(前期比セグメント利益43.5%増!)
  • 建築機器事業はコロナ影響が追風になり増収大幅増益!(前期比セグメント利益198%増!)

将来への種まき事業としている軸受けと建築機器事業が事業貢献し、主力事業を補い上期黒字化へと繋がりました。これがあって、自動車関連の中で株価がいち早く回復しているのかとみています。

オイレス工業は資産株記事も書いていますので良かったら閲覧どうぞ。株主優待は株主優待ポイントを使ったカタログギフトです。100株で長期保有最大5000ポイント、500株だと10000ポイントになります。

【株主優待】 最高5000円相当のカタログギフト 6282 オイレス工業 配当+優待利回り6% 【資産株お勧め47.】 | ケン@投資家ランナーの投資&マラソン&固定費削減まとめ (ie36ken.com)

 

 

 


1.上方修正と配当予想

上方修正と配当予想

  • 前回予想から15億の減収7億の営業利益増額の上方修正です。
  • 修正理由は、主力の軸受け事業の上期の売上落ち込みが想定以上に大きかった一方、回復ペースが想定より早く進むと見立てています。経費面ではエリア毎の費用配賦の見直しを行う事で対応しているそうです。
  • この修正だけ見ると、減収増益で上方修正だけど主力の軸受け事業は他自動車関連メーカーと同じような傾向なのね。と思いますね。

上方修正と配当予想2

  • 続いて配当予想です。
  • 未定でしたが、上期下期10円ずつ減配の通期30円配当予想を出してきました。
  • 減益幅を考えるとこれぐらいの減配は致し方ないと思います。むしろ、優待改悪が無かった事を評価したいですね。上期無配でも僕は保有継続姿勢でした。
  • 下期は回復見込で営業利益が増額予定なので、回復幅が予想より大きければもしかしたら下期は15円配当でなく若干の増配が出るやもしれません。

業績、配当予想の修正に関するお知らせ

 

2.2021年第二四半期決算概要

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要1.

  • 決算短信と決算説明資料を抜粋して掘り下げます。
  • この1ページ目だけ見ると減収減益幅が激しく中々切なくなりますね。
  • 1株益は10円台、1株純資産は15円配当で減っています。15円配当はこの上期は頑張っていますね。
  • 下期、営業利益14億円。下期は営業利益12億円の予想です。軸受けの売上高が前年同期比90%ほどに回復すると見込まれているのでこの通りくれば上方修正が更に出そうですね。会社によると保守的に見た予想であるそうです。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要2.

  • セグメント別業績です。
  • いつもは利益柱の軸受け事業は一般産業機械向け、自動車向け共に減少し赤字に転落。いつもならば利益を牽引している事業です。これだけしか育てていなければ事業としてはもっとひどい事になっていたことでしょう。
  • 構造事業は増収大幅増益!大型案件が順調に伸びて前年比増収増益。建築向けは横ばい。
  • 建機事業は、地味にコロナ追風影響が出ています。換気需要の高まり需要増。住宅向けは減少。併せて増収大幅増益です。
  • 構造事業と建機事業が頑張る事で、主力事業の赤字を補い上期黒字化で着地できました。種まき事業が成功しましたね。流石です!

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要3.

  • P/Lでの前年同期比比較です。
  • 減収になると製造ラインの配員ロス増が予想されるので売上原価率が上がる事は想像できます。よって、売上総利益率は2.9%減少。(売上原価率が2.9%上昇)
  • 販管費も売上減に追従できずに売上高に対して3.9%上昇。減収しながら固定費を並行して下げて同じ比率にする事は至難の業です。販管費比率の減少は増収基調で成し遂げるのが基本ですね。減収に合わせて、売上高に対する比率を同じにしながら下げてくる企業があれば、超絶優良企業です。不況下でも利益率が変わらないのですから。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要4.

  • 続いて簡易B/Sです。
  • オイレス工業が素晴らしいのは製造業でありながら固定資産が少ない事。建築や設備にかかる固定資産額が少ないので減損損失の影響が少ない事が予想できます。設備投資を極力抑制しながら事業運営している証拠です。他、自動車部品メーカーも見習ってほしいところです。(プレス部品メーカーは悲惨)
  • 流動比率(流動資産÷流動負債で表し、短期的な支払い能力を見る指標)が479%と短期的な資金繰りは余裕ですね。総負債の2倍以上の流動資産がある事からも正真正銘、好財務と見ます。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要5.

  • B/Sの詳細です。
  • 流動資産467億のうち351億が現金預金と受取手形、売掛金です。7割以上が現金化しやすい資産ですね。
  • 固定資産は213億。製造業は建物や構築物よりも、生産ラインで使う機械や装置で減損が起きやすいので、この部分が50億しかないのは良いですね
  • 今の水準を維持できるのであれば、高利益体質は永続的に続くでしょうか。ならば、流動資産が厚い分、自社株買いが再開される可能性もあります。すると利益水準が横ばいでも長い目で見れば増配。これを繰り返すと…….超絶優良キャッシュリッチ企業のプロネクサスを連想させます。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要6.

  • 負債の部です。オイレス工業は銀行等、ステークホルダーの信頼も厚そうですね。
  • 何故なら、短期借入金の項目がなく、長期借入だけで事業を賄っているからです。長期借入が出来るという事はお金を貸す側からしたら、その企業が貸すに値する(不良債権の可能性が非常に低い)企業だという事です。
  • 運転資金は返済期限が長い方がいいに決まっています。素晴らしいですね。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要8.

  • セグメント別の上期業績推移です。
  • 主力の軸受けは昨年から調子が悪いです。自動車産業全体が減収減益傾向なのでその影響を受けています。
  • ここにコロナが襲い掛かり、円高、原油安。それはどの自動車メーカーも10年来安値などを付けると思います。
  • 22年はV字回復を期待ですね。20年3月期並みを達成するだけで他2事業が伸びているので20年3月期比で増収増益。コロナから立ち直り成長した姿になります。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要9.

  • 構造事業は素晴らしいですね。
  • 3期連続の増収増益です。
  • 33億ぐらいが損益分岐点なのでしょう。そこを超え始めると売上と変動費の差額である限界利益分だけ売上拡大によって利益が増します。固定費の負担を考える事なく、利益だけ増えていくボーナスステージに突入したという事です。
  • 残念ながら大型案件での増収増益なので、22年度は減少するでしょうが。会社としては年間売上高100億円を平均需要と見ているそうです。20年3月期並と言う事ですね。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要10.

  • 建築セグメントは増収増益。
  • ここは19.3期までは黒字でしたが昨年から黒字化し事業貢献できるようになってきました。
  • ここの損益分岐点は26億ぐらいでしょうか。そこを超え始めたので営業利益率が伸びてきました。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要11.

  • 来期見通しです。
  • 軸受けは下期に売上高200億を出す予定で回復を反映しています。
  • 営業利益は5億ほど出す予定ですね。赤字が8.93億→4億に減少しています。
  • 構造は上期が営業利益10億出したのに対し、下期は5億の予想なので保守的に思います。
  • 建築は上期1.2億に対して下期3億。これは強気ですね。

軸受け事業の回復に左右されますが、妥当な予想に思えます。

オイレス工業-2021年第二四半期決算概要12.

  • 各市場、コロナ影響から回復し下期は概ね、前年比90%程度の売上推移を想定されています。少し強気かもしれませんね。

種をまいていた事業がコロナ影響を軽減してくれたことがよく分かる決算でした。これならコロナから回復した時は成長軌道に乗っている事が予想できます。株価がいち早く他の自動車メーカーと比較して回復したのもよく分かります。

 

2021年第二四半期決算説明より抜粋
2021年第二四半期決算短信より抜粋

 

以上です。

*当記事は個別銘柄について言及していますがあくまで個人の見解・分析であり、売り買いを推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

 

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ

にほんブログ村 株ブログ 株 中長期投資へ

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ

にほんブログ村

 

決算分析の記事に興味がある方は以下の記事もどうぞ

決算分析一覧

 
Pocket
LINEで送る


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA