昨年度はコンプライアンス上の問題で是正に向けた動きで危機に直面していた住友精密(6355)。前途多難です。
決算概要をざっくり見たイメージ
- 主力の航空宇宙関連は民間航空機需要減で減収赤字。下期も継続見込。
- 産業機関連は上期需要減で赤字だが下期は回復で黒字化の見通し
- ICT関連は半導体需要減少だが減収減益で黒字の見通し
- 手元流動性確保のため無配継続。借入拡大。
- 下期との品種構成変化による辛くも上方修正
株価は30年来安値を更新中。大底ですが、いかんせん航空機需要が回復しないと浮上できません。昨日の決算を見る限りは、JALも相当売り叩かれていたため損切りしようと思いましたが、ファイザーのワクチン報道が出たため、ひとまず決算を掘り下げようと思い踏みとどまっています。
住友精密のバリュー株記事も書いているので良かったらどうぞ。
住友精密工業(6355) PER2.59倍 PBR0.39倍 防衛省向け販売の住友商事子会社のバリュー株 【バリュー株分析2.】
1.上方修正と無配発表
- 上方修正ですが内容が微妙….と思ったらよ~く見たら若干良さそうですね。
- 減収、営業利益以下増益で赤字縮小予想。
- 差異の理由は、航空宇宙事業の防衛装備品や産業機器事業の熱交換販売が下期にずれ込んだため減収。
- 利益面は、民間航空機の新造機用脚部品の販売が下期にずれ込み、品種構成の変化で上回ったあとあります。
- 減収は販売が下期にずれ込んだで分かりますが、何故利益面も下期にずれ込んで増益となるのか?増益面は品種構成の変化が主ではないだろうか?と見ました。
- と言う事は、下期にずれ込んだ防衛装備品、熱交換販売、新造機用脚部品は下期に増収となり売上高利益率は流石にマイナスの商品ではないので増益に働くと見るのが普通かと思います。
と言う事で、下期に更なる上方修正が出る可能性があるのでは?と期待します。
なお、通期予想の修正はない見込みです。
- 配当は無配継続です。安定継続配当方針があるものの赤字予想で財務体質は良くないため賢明な判断に思います。手元の借金も増やしており、有利子負債増加の傾向です。
業績予想の差異に関するお知らせより抜粋
中間配当無配に関するお知らせより抜粋
2.2021年度第二四半期決算概要
- 決算概要の資料があったのでここでセグメント別の傾向を把握しましょう。
- 表の左が前年度決算。真ん中が今年度最新予想。右が差異です。
- 全セグメント前期比減収減益です。恐ろしいですね。
- 航空宇宙関連は上期にコロナ影響で減収減益。下期も継続の予想(ですが、売上高は84億→121億に大幅回復)赤字は上期-5.3億円。下期-10.2億円予想。下期にこれだけ売上が回復すれば、下期単体で見ると黒字では?と思います。何故なら、19年の上期の売上はほぼ同額の122億円で10.8億円の黒字を出しています。そんなに製品毎の売上高に対する利益率が違うのでしょうか?あまり利益率は変わらないと見るのが自然だと思います。ならば下期は….
- 産業機器関連は、熱交換機器の不適切行為のため製造停止で上期減収。下期には回復見込で通期では黒字予想。ここは22年度は21年度より増収増益の可能性は高そうですね。
- ICTは21年度上期の需要が得意先の投資タイミングの関係で減少。下期には回復見込。
- 今度は見方が変わります。左が期初予想。真ん中が最新見込。右が予想との差異
- 航空機、産業機器関連のコメントは業績予想の修正と同じ通りです。航空機関連は減収ながら増益です。産業機器は減収赤字転落です。航空宇宙関連の赤字縮小幅が大きく合わせると増益。
- やはりよく分からないのが航空宇宙の売上高が1.5倍も回復するのに赤字が-5.1億というのが変わらないこと。通期予想修正が無いからですが、この売上高を叩き出せば高い確率で増益側に修正されると思います。
- 産業機器関連が逆に強気の増益予想なのが気になります。
- ICTは増収増益に伴い上期黒字浮上。代わりに下期は減益予想。3億の売上変動で下期の利益が1.6億も変わるのですか….。(ってここも通期予想は変えていないので事前に変わるでしょう。)
総じてみると下期は回復して再度上方修正が出るのでは?とみます。
- 決算短信を見てみます。
- 減収赤字転落。自己資本比率低下。無配継続。通期予想も赤字。良い事は一見ないです。
- ですが、下期にあれだけ売上回復する予想を出して営業赤字が拡大する(-6.5億→-10億へ拡大)のは不自然なので修正は高い確率であると見ます。
- 定性要因が驚くほどスッキリしています。
- コロナに伴う受注減少と前年比が好受注であったことが減収赤字要因です。
- 通期予想の修正は現時点で変更なしです。
- B/Sです。
- 資産構成は流動資産>>固定資産ですが負債も多いためあまり財務は良くありません。
- 流動資産は換金性の低い(デッド化の恐れがある)仕掛品と原材料が増えており、現金預金と手形・売掛金が減っており悪化しています。(流動資産全体では増えていますが、健康的な増え方ではないと見ます。)上期に産業関連で製造停止になった事も要因としてあるでしょう。下期にこの傾向が回復しないかは注視が必要です。
- 負債の面では短期借入が増えています。ここは長期借入が増えて欲しいところですが、不適切会計などの影響でもしかしたら短期借入しか受け入れてもらえなかったのかもしれません。
- P/Lです。
- 減収に伴い販売費、一般管理販売費を抑制するも追いつかずです。
- 為替影響もあるようですね。
- キャッシュフローを少し見てみます。
- 営業CFは棚卸資産増加が効いて赤字。悪い傾向です。
- 投資CFは固定資産取得は継続で赤字。これは普通ですね。
- 財務CFは短期借入を大幅に増やしておりプラス。手元流動性を増やしたからですね。その割には現金預金が何故増えていないのか?棚卸資産に回ったからでしょう。頑張って売ってくださいな!!
- セグメント別業績です。
- 見事なほど前年比で減収赤字転落、減益です。
- 産業機器とICT関連は市況が回復してくれば安定収益事業になりそうですね。前年は営業利益10%前後出しています。
- 航空宇宙関連は主力事業ながらバラつきの大きい事業です。
回復を待ちです。
第二四半期決算概要について より抜粋
2021年第二四半期決算短信 より抜粋
以上です。