株式市場の大暴落への備え
中国発のコロナウイルスショックに端を発した株式市場の大暴落相場を体験中です。コロナの特効薬が開発されず、感染者数だけが拡大していく現在、まだまだ大暴落相場は続く感触です。原油安もこれに加わって市場は更に混乱を極めました。
日経平均は2月半ばに24000円を付けていましたが、3/13日の午前取引を終えて16838円まで下落しました。30%の下落です。
昨日は、ダウ平均株価が2000ドル以上の下げ。イタリアの相場は17%以上下落、ドイツも12%以上下落したそうです。
株式市場から逃げたくなりますが….今回体験した事を踏まえ
- 暴落相場への備え
- 今回の反省点と成功点
- 次回、暴落相場への備え
などをまとめたいと思います。本記事は
- 日本個別株式投資家の方
- 現物株取引の方
- 長期投資家、バリュー株投資家
の方である僕自身を対象に書きます。(僕の体験談や考えからくる備忘録と対策中心です)
1.暴落相場に対する普段からの備え
・季節によって株の買い時、売り時を決める
・購入タイミングはバリュー株ノウハウに従う
・キャッシュ確保として社債、インデックス投信を使う
2.コロナショックの暴落相場を体験して
・失敗事例
・成功事例
・新たに学んだ事
3.次回、暴落相場への備え
・キャッシュポジションの確保
・購入タイミングを感覚ではなく指標で行う
・暴落時に購入する候補を選定しておく
1.暴落相場に対する普段からの備え
記憶にある暴落相場は2008年のリーマンショック、2011年の東北大震災です。その相場を経験した上で普段から備えている事をまとめます。
2008年のリーマンショック時は株の投資資金は200万ほどでした。株よりも当時FXの高金利通貨(南アフリカランド、NZドル)にはまっており、ここで相当な痛手を負いFXはもうやらないと心に決めました。当時
- 株は200万→50万ほどの資産に(含み損がズブズブ)
- FXは450万の損失を確定させて、含み損250万を抱えて放置状態
になりました。当時入社2年目でしたが、年間通して絶えず長期出張するという不思議な環境であったため給料が毎月1.5倍になっている状態で、入金力が1年で400万近くできました。その2年間で貯めた資金がほぼ水泡に帰した状態です。先日、久しぶりにFX口座を見ましたがこんな状態でした。
- 口座は430万の資産。口座清算価値は90万程度
- 暴落相場でロスカットになったかもしれません
株式は資産株を一部残して損切り。当時はバリュー株と資産株しか投資する術を知りませんでした。損失は確定申告して繰り越し、3年以内にどうにか入金力も増やして解消しました。ここで学んだ事は、投資金額が少ないうちは入金力に頼り、コツコツ投資すれば損失は解消できる。です。
2011年の東北大震災の時は
- 大型株で年初来、3年来、5年来安値更新している銘柄
しか狙いませんでした。大体、投資金額の10~20%程度上がったところで売却する事でこの年は全く不安は意に介せずでいけました。バリュー株と資産株は何もいじった記憶がないので大した被弾ではなかったのでしょう。
その後、チャイナショックや2018年の暴落相場がありましたが、大局を見ていないので大して気になりませんでした。コロナショックを体験するまでは…..。
季節によって株の買い時、売り時を決める
季節変動によって年間の株価が上昇する、下落するタイミングはおおよそ規則的になっています。
これは、学生時代に読んだ「株の雑誌で一番売れているZAiが作った株入門 初級編」で学びました。理論的な説明が出来ず、経験論のアノマリー投資感覚で語りますが季節・月度によって株の上がり時と下がり時が年間を通して規則正しくあります。
この考えを元に大型株を中止に大体
- 9月~11月末に買い
- 12月末~1月末に売る
というサイクルを繰り返すと勝率が高い事に気づきました。9~11月末は損益通算の売りが多い事かと考えています。
12月末~1月末は来年度への期待や正月相場で上がり易いからだと思います。現に2020年も1月は上り調子でした。
これ以外に日経平均の変動幅が大きい時は、2月に仕込んで4月中に売るなども検討出来ました。こうして、年間を通して小さな暴落と暴騰感覚を身に付けていたのでコツコツ買いや分散投資していく事も感覚で身につきました。
購入タイミングはバリュー株ノウハウに従う
値上がり益を狙うバリュー株と大型株投資で銘柄購入タイミングを見計らう時に気を付けている事は
- 年初来安値、3年来安値、5年来安値などである事
- 業績が横ばいか向上予想(四半期決算では進捗率が高い)である事
です。これを守れば、今回のような大暴落相場でなければ高値掴みを防ぎ、長期的に株価が下落するリスクも減ります。大きくは勝てないかもしれませんが、大きく負けるリスクが減ります。
わずか数年で億を狙うわけではないので、長期的に負けない事が大事だと考えています。このため、上記のバリュー株ノウハウを守る事を鉄則としています。
【投資15.】バリュー株投資 ノウハウ ①Mustで絶対に外せない点 「業績向上 or 横ばい」 「指標 割安 」「上場来安値 年初来安値」
キャッシュ確保として社債、インデックス投信を使う
暴落時に備えて普段からお金を口座に余らせておく事が出来る人はこの項目無視して良いと思います。ぼくは残っていたら使ってしまう性質なので、これを使います。この方策は
- 銀行預金に置いておくよりは利回りが高い
- 暴落相場持に簡単に現金化して立ち向かう事が出来る
- 個別株と比較し値動きが緩やかで含み損になりにくい
という利点があるため、利用しています。
社債は個別企業などの発行体が倒産しない限り必ず元本が返ってきます。(満期まで持っている場合)満期前に売却する場合、元本を下回る事がありますが、1~3%と僅かです。元本より上がっている事も考えると気になります。
インデックス投信は
- 世界先進国株式
- 世界債券
を中心に投資しています。前者の先進国株式は値動きが株式だから暴落相場持は含み損になるじゃないかと言われそうですが
- 数年に分けてドルコスト平均法で積み立てる
事が出来るため、基本的に取得単価が低くなり暴落相場の中盤ぐらいまでは含み益の状態である事が多いです。今回も含み益であったため、キャッシュ化して闘う事が出来ました。
世界債券は、海外の社債や国債、地方債などで値動きは株式に比べて緩やかです。今回やはり大して下がっておらず含み益状態でしたので、キャッシュ化する事が出来ています。
インデックス投信でNisa枠120万を積み立てるようにして、毎年120万ずつ備えています。Nisa枠のインデックス投信はロールオーバーしません。(すると積立て原資が増やせないためです)
キャッシュ化する順番は
- Nisa枠で投資後5年以上経過したインデックス投信
- (社債価格が元本より上なら)社債
- Nisa枠購入中のインデックス投信(2が元本割れしているなら、順序逆)
としています。これは、Nisaの非課税枠をなるべく活用する事からこうしています。
社債に関する理解が乏しい方は、社債記事。
インデックス投信に関する理解が乏しい方は、インデックス投信本の記事。
を書いていますので宜しければ閲覧ください。
【投資.2】債券投資(国内・国外)は社債で決まり
6年で100万の利益!投資信託初心者向け・無理なく・手堅い・長期投資で資産形成!「投資信託にだまされるな! 本当に正しい投信の使い方」(竹川美奈子)
2.コロナショックの暴落相場を体験して
中国発の強烈な下げ相場を展開しているコロナショック。WHOがパンデミックとみなせると3/13の日経新聞1面に書いてあります。米国相場ではサーキットブレーカー(相場が過熱したときに取引を一時中断する措置)が夜に何回も発動していました。
今回の相場を経験して、失敗したこと・成功したこと・学んだことの3項目を整理したいと思います。
失敗したこと
大きく分けて、相場の大局感に関する事。個別銘柄の売り買いに関する事があります。それぞれ挙げていきます。
大局観.序盤でかなり買ってしまった事
今回本格的に下げ始めたのは2/20日あたりです。それまでは24000円付近で日経平均は落ち着いていました。この時、例年感覚で3月になると相場も踊り場になって下がらなくなる….そう思って、2月の1週目から結構強気で買っていました。
大暴落が始まる前の2/15あたりで既にNisa枠が切れた投資信託を売っている状態でキャッシュアウトが激しく資金切れでした。20日の週で本格的に下げが始まった時には、社債を売りコツコツ買いを繋ぎました。
それでも資金は3月1週目末には尽きたので、Nisa枠の利益が出ている投資信託をキャッシュ化してコツコツ買いを継続。今週に入ると更に激しく下がり、買いはするもののペースが鈍化した….といったところです。
コツコツ買うというのは良いのですが、全体感を何も見ていませんでした。Twitterを見て皆さん色々と語られていますが、僕は大きな二つの定量指標を見るべきだったと思っています。
1つは日経平均株価のチャート
個別銘柄の売り買いと同じ感覚で見れば良かったんです。要は、過去1年来安値、3年来安値、5年来安値に達しているか。コツコツ買いを始めた時は23500円程度でした。1年来安値にも達していません。せめて、このようにすればよかった(特に初速の20000円付近から始める事)と反省しています。
- 年初来安値20000円付近になったらコツコツ買いを始める
- 3年来安値18000円付近になったらペースを速める
- 5年来安値16000円付近になったら全力
それはこの黄色い枠で囲ったあたりに達したら買い始めるといった感じです。せめて20000円から買い始めていれば含み損はここまでズブズブにならずにすみました。
tradingview よりチャート転載
ひとつは評価損益維持率
株は信用取引をすると投資資金の何倍も取引高を増やす事が出来ます。この時、取引している株式を建玉といい建玉の株価が上がったり下がったりして損益を出します。(現物と同じように)この時の損益を評価損益といい、評価損益率は保有している建玉がどれほど利益・損失を受けているかをパーセントで表したものになります。
信用損益維持率 = 評価損益額 ÷ 信用建玉残高(買いのみ) × 100
この損益維持率がマイナスになっている時は信用買いしている投資家は含み損の状態です。一般的には-10%を上回ると追証(追加で資金投入が必要)と言われています。この指標を株価の底値伺いに使う事が出来ます。
暴落相場ではこの維持率が-20%になると追証を嫌い、信用取引をしている投資家の大量の売りが出るそうです。(信用買いを解消するための売り) ですので、20%に達するときが買い時だと一般的には考えられます。
日本の株式市場では週に1回この指標が更新されています。推移を見てみましょう。
- 2/15あたりでは信用評価損益率は-13%でまだまだ底じゃない事が伺えます。
- 信用評価損益率-20%に達したのは3月に入ってからです。まだ下げていますが、コツコツ買いを始めるならば3月からが今回は可能でした。(この指標を使った底値伺いを調べるコツを知っていれば)
- 実際の数字です。2/28日から信用評価率が-20%を超えています。明日この値が更新されるでしょうが、まだ20%超えなのでしょう。
信用評価損益率より抜粋
この指標は1週間に1回の更新ですが、早く買い過ぎると損失が拡大するので週末にこの指標を確認してから週明けに買っていくぐらいで中長期投資家にはちょうど良いのかと思います。
どうしても毎日指標が見たいのであれば、松井証券であれば松井証券で信用取引をされている方の信用評価損益率を見る事が出来るそうです。気になる方はこの指標を見るためだけに口座を開設する価値はあるかもしれません。
個別銘柄の売り買いに関する事
これはシンプルです。
- 含み益のある銘柄はさっさとキャッシュ化のために売ればよかった
- 業績の悪い資産株はさっさと手じまいすべきあった
両方とも売り逃しです。
前者は含み益のある状態で早々に撤退すればよかったのですが、タッチの差で売れない日が続きそのまま保有となってしまいました。資産株中心なので長期では大丈夫ですが、安いところで買いなおす事はできたと思います。
後者は途中決算が終わり進捗率の明らかに悪い株があったのですが、売らずにぐずぐずして損失を拡大させてしまいました。具体例を挙げるとANAPです。600円で買い、480円ぐらいの時にこれはまずいな….と思いながらも保有を続け、結局売ったのは380円。今は300円を切っています。ここまで業績が酷い銘柄は無いですが、他にも点検すべき株はありました。
成功した事
暴落相場に対する普段の備えの項目で述べた
- 社債を買っておいて現金化に備える
- インデックス投資信託を定期的に購入しておき、現金化に備える
です。これが無ければ2月15日以降のキャッシュがゼロでした。社債が現金化できたおかげで2月いっぱいまでコツコツ買いを継続できましたし。
インデックス投資信託があったおかげでまだコツコツ買う事が出来ます。この2つで結局全体資産の25%ほど占めていました。社債は今後も募集があれば積極的に応募したいと思います。
新たに学んだ事
暴落相場は不安に対する不透明感がある限り底が見えない
コロナショックは
- 感染者数の増加率が減少し、拡大ピークが収まる
- ワクチンが導入されて早期治癒する見込みが出る
どちらかの状態が見えないとまだまだ安心できず株価は下がり続ける可能性があります。今後もどんなショックがあるか分かりませんが、不透明感が晴れる見込みを第一に考えたいと思います。
セリングクライマックス
単なる言葉ですが、暴落相場の一番の大底を表します。コツコツ買いの資金が尽きるのはこの少し先ぐらいを狙って温存投資をしていきたい。
株価下落と逆の動きをするダブルインバースの投資信託
諸刃の剣ですが、日経平均株価が下落すると右肩上がりで上昇するダブルインバースの投資信託がありました。相場の下がり始めに買うのが有効に思います。
しかし、減価に注意です。減価は株価が一方向(下がり続ける)にしか動かなければ良いのですが反対に一回でも動くと手数料みたいに保有している信託の価値が目減りする現象です。
長期投資には向いていません。
コツコツ買う銘柄の選定が重要
これは直感で考えましたが、今回は
- 配当+優待利回りの7%以上の銘柄
- 財務基盤が堅く多少の赤字では潰れない事
- 業界最大手、シェアトップの主事業を持つ
- 直近の業績進捗が好調な事
- コロナと直接関係が無い業種(ビルメンテナンス、不動産、情報・通信)
として大型株、資産株中心に選びました。前半の4つは、今後、どのようなショックが起きようとも共通して使える考えかと思います。
暴落が一定起こってから探していたので対策が遅れ気味です。普段から暴落対応銘柄一覧を大型株、資産株で50銘柄ずつ持て置かないといけません。
後半のコロナ関連というのはショック内容によるので都度、起こるショック毎に考える必要があるでしょう。
3.次回、暴落相場への備え
以前から備えているものに加え、今回学んだ失敗と新たな視点をまとめて次回以降の対策に備えます。まだ、36歳。これからもコツコツ入金していけばまだまだ株式市場では闘う事が出来るし、死ぬまでに5~7回ぐらいはこのような暴落相場を経験すると思います。
それに対する備えをまとめます。
大暴落に備えたキャッシュポジションを持つ事
これは今やっている事が間違っていなかったと確信が持てたため継続します。
- 普通社債があれば、定期的に購入する
- Nisa枠でインデックス投信を定期的に購入し続ける(年間122万上限)
大暴落相場が5~10年に1回程度発生するのであれば、500~1000万ほどはキャッシュを貯める事が出来ます。(入金力あってこそですが。)
暴落相場にならずとも、社債であれば銀行預金よりは利回りが良いですし、インデックス投信はダウ平均株価が上がり続けている間は上がってくれます。
しかし、課題もあります。今の数千万程度の総資金であれば有効なのですが、これが将来1億をこえる資産になってくるとキャッシュ比率が相対的に低くなるので別な方法を考えないといけません。例えば、Nisa枠に限らずインデックス投資信託の購入額を増やして対応するなどです。
購入タイミングを感覚でなく指標で行う
失敗事例で学んだ事を活かします。
- 購入タイミングは日経平均株価が〇年来安値に達したときを狙う
- 信用評価損益率が-20%に達したときを狙う
暴落時はこの2つの指標を見る事から始め、いきなり買う事の無いように努めます。
暴落時に購入する銘柄の選定をしておく
今回は突貫工事で2週間の週末に渡ってざっとみて作りましたが、大型株は半分以上が過去の経験則・相性の良かった銘柄でしか選べていません。大型株、資産株候補を常に選んでおきたいと思います。
【大型株】
- 業界首位・トップシェアの事業を持つ
- 財務基盤が堅い事
- 業績が大きく悪化していない事
- ボラティリティの高い銘柄である事(値上がり益が大きい)
- (可能なら)配当+優待利回りが3%以上である事(暴落時は5%を超えてきます)
→値上がり益を狙いつつ、株価が上がらなければ資産株としても役立ちます
【資産株】
- 配当+優待利回り5%以上(暴落時は7%を超えてきます)
- 財務基盤が堅い事
- 業績が好調で上方修正が出そうな事(悪いと下がりっぱなしで上がる事が無い)
このような観点で購入単価を例えば1年置きに見直すなどしていこうと思います。
まとめた銘柄はSBI証券のポートフォリオ機能を使い、管理していきます。
【投資8.】SBI証券のポートフォリオ機能を活用した銘柄の購入・売却タイミングの管理法
以上です。まだまだ油断できない相場が続きます。ですが、17000円を割り、全力投資の5年来安値水準に達してきました。来週からコツコツ買いを再開したいと思います。
まだまだ株式市場は学ぶことが多いです。これからも精進しなくては!
全世界の投資家とランナーに幸あれ!